地形図製作のおもいで
ひさしぶりだ。最近忙しいぞ。横浜で10時間ほどビール飲んだり、翌日は大勢の前でプレゼンしたりで。
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地形図の製作方法もずいぶんと変わった。
昭和40年代のダイレクトスクライブ法から、平成初期頃にはUNIX上で動くラスタ画像編集システムに移行し、さらにNTISと呼ばれるベクトル型維持管理システムになってもう5年以上になるか。一応全てに係わった(一応です)。
ダイレクトスクライブ法
- 図化素図をスクライブベースに焼付け
- 地図編集しながら一気に描画
- 地図編集しながら描画するため、非常に効率的
- 直接ネガ原図ができる。ネガ製版(刷版)であった地形図では鮮明な画線が得られた
- 大変な技能が要求される。まさに熟練の職人芸。地形図の全てを掌握したうえで、高度なスクライブ製図技術が必要
- 描画は基本的に一発勝負。失敗が続くとスクライブベースがボロボロになる
- ボロボロってことは、修正測量を重ねるとスクライブ原図がボロボロになるってこと
VRC(ラスタ編集システム)
- スクライブ原図のボジをつくる
- ドラムスキャナでスキャニング(1016dpi、最終的には2階調化)
- UNIX上で動く専用システムで編集する
- 図葉ごと、色版ごとの管理
- 原図の劣化がなくなった
- スクライブ製図からの移行が十二分に考慮された(「回転スクライバー機能」とか)
- 製図技術は不要になり、「誰にでも」出来るようになった
- デジタル機材を使った「アナログ地形図」
- 専用システムのOSはソラリスだったが、リビジョンが変わると動かなくなった
- 提供されるシェルすらまともに動かなかった
- 出図プログラムはカルコンプネイティブ(CCRF)しか吐き出さず、機材を選んだ
- とにかくよく落ちた。バグ回避のノウハウが受注各社で共有されたもんだ
- データは1016dpiの2値画像。フィルムセッターの出力解像度は2000dpi(たぶん)。2値画像の出力では重要な倍数にならず、画線が荒れた。もっとも1016dpiも、地形図では解像度不足だったと思う。おかげで明らかに印刷品質が落ちた*1。なので良い印象はないな、ラスタ地形図。
またつづく
*1:感じた人は少数ですが