もしも地図画像がGeoTIFFならば・4

ということで、もしも地図画像がGeoTIFFならば、いいことずくめです。

id:vec2ras:20101216:1292432655は、GIS-erには古めかしい話に思えたかもしれません。しかし決して昔話でも誇張でもなく、今でも割と普通の話です。仕事で地図を使っていても詳しいとは限りませんし、誰しもが電子国土を始めとするWeb地図を使うわけではありません。何より地図画像は加工できる点が大きなメリットです。

新しい国の基本図として、Webが中心と想定される「電子国土基本図」の整備も進められています。そちらも測量法27条に則って地図画像が提供されるかもしれません。ベクトルデータ提供の声もちらほら聞こえますが、ここでは地図画像を考えます。以下、個人的な要望。

GeoTIFF

GeoTIFFの効能は言うまでもありません。なぜ今までGeoTIFFでなかったのか不思議なくらいです。GeoTIFFタグを無視する普通の画像アプリケーションでは、今まで通り扱えるのも魅力です。また測地系と座標系、および座標の定義は.tfw+.prjとかありますが、ちょっとアレなので考えません。
もちろん他フォーマット、例えば「GeoPNG」なるのもが仮にあり、GeoTIFFと同じよう広く使われているなら、そちらでも構いませんけど。

図郭外余白のNODATA埋め

強力に効き目あり。ただ図郭線や図郭外の整飾に関しては工夫が必要で、カラーパレットもさらに工夫が必要です。一筋縄でいかないかもしれません。
もし電子国土基本図の地図画像が提供されるなら、現在の地図画像と投影法が異なることも考えられます。ひょっとすると図郭と地図画像の端が一致するかもしれません。その場合は図郭外の余白が存在しないため、NODATAで埋める必要はありません。

カラーパレットによるレイヤ分け

現在と同じように、地物を上手に振り分けて分離可能な状態が望ましく。とりわけ簡単に色の変更ができるのは大きなメリットです。地図画像は多くのWeb地図と違ってお金を出して購入するもの。仮にただのRGB画像では編集不能に近く、商品として価値が低下します。少なくても注記の分離は必須と考えます。

より高圧縮アルゴリズム

地図画像に施されているPackBits圧縮はあまり使われていませんが、互換性はほぼ問題ありません。しかしより高圧縮が期待できるLZWやZIPも規格として存在しており、LZWはほとんどのアプリケーションで使えるはず。LZWの特許問題も時間が解決しました*1 *2。いずれにしても、そのまま読み込める可逆圧縮での提供は便利です。CPUは速い。

高解像度化

254dpiでは物足りない層もいるわけで。地図画像原データの1016dpiでは手に余るが、半分の508dpiなら…と考えている人たちは多いはず。もちろん508dpiも必要ない人も多いので別の刊行物にするとか。「地図画像 HD版。STD版170円の1.5倍で端数切り捨て250円!」。まあ解像度が上がるのは良い事です。リサンプルにも耐えやすい。


測量成果を測量法に則って刊行している地図画像。ちょっとしたことでユーザの利便性は飛躍的に向上します。このWeb地図な時代、お金を払って地図を購入するのですから、購入には何らかの理由があるはず。耳を傾けるのは当然な話です。刊行元*3には魅力ある測量成果の提供を期待しております。

(おわり)


(おまけ)

基盤地図情報25000WMS配信サービス+「数値地図25000(地図画像)」の注記版+Quantum GIS


JGD2000 / Japan Plane Rectangular CS III, EPSG:2445

*1:こんなことがあったので難しいかな。当時は大騒ぎ。 LZWに震え上がった10年前の人たち - ITmedia エンタープライズ

*2:またこんな話も。 2008-06-18

*3:まあ国土地理院なんですが